「基本給」と「残業手当」の境界線

時間外手当、基本給に含む場合も 東京地裁が判断示す
2005年10月20日08時49分

 モルガン・スタンレー証券会社(東京)に勤めていた男性が、時間外手当を支払うよう同社に求めた訴訟で、東京地裁は19日、「一定の条件下では、時間外労働の対価は基本給に含まれて支払われたと言える」との判断を示し、請求を棄却する判決を言い渡した。労働実務では、88年に最高裁判決が認めた「基本給に含まれると言うには、基本給のうちいくらが時間外手当かがはっきりしていなければダメ」との考え方が支配的だったが、その実質的な例外を初めて明示したとみられる。

 判決によると、原告は40代で、98年に入社。就業規則上の労働時間は平日の午前9時〜午後5時半だったが、02〜04年には毎日、午前7時半ごろからミーティングに参加していた。原告は解雇された後の04年、時間外手当計約800万円の支払いを求めて提訴した。

 判決理由難波孝一裁判官は(1)原告の給与は労働時間数によってではなく、会社に与えた利益などによって決まっていた(2)同社は原告の勤務時間を管理しておらず、原告は自分の判断で働き方を決めていた(3)基本給だけで月額183万円を超えており、時間外手当を基本給に含める合意をしても今回のケースでは労働者の保護に欠ける点はない――と指摘。こうした場合は、基本給の中に時間外手当が含まれているとしても、サービス残業を助長するようなおそれはなく、時間外労働に対して割増賃金を支払う義務を定めた労働基準法に違反しないと述べた。

 経済界などからは、労働時間についての厳格な考え方に異議を唱え、原則1日8時間労働の規制をホワイトカラーの一部には適用しないようにする制度を導入すべきだとの議論も出ている。判決はこうした議論に影響を与える可能性もある。

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労働者保護の各種法律(労働基準法労働組合基本法等)の殆どは戦後すぐ〜高度成長期に制定されている。これらの法律が制定された当時に想定していた「労働者像」は主に工場勤務のブルーカラー層であったため,現代の産業構造にマッチしていないのでは?,という疑問が出てきても不思議はない.

それにしても,月180万以上基本給でもらっていた人間であったにもかかわらず,更に残業代をふんだくろうと企んだこの原告.庶民を馬鹿にするにもほどがあります.