建設業斜陽化の契機

建設業,たとえば土木,道路などの分野においては,「都市化が進行し」,飽和状態になった時点で,斜陽化が開始している.また,建築の分野では,バブルの時期,建築ラッシュとなったが,ある程度の大型建造物が落成すると,やはり飽和状態となり,斜陽化が開始している.つまり,「飽和状態」はすなわち「パイの減少」であり,その先に待ち受けているのはパイの奪い合い,すなわち「価格競争」,「同業者間の価格の叩き合い」のみである.それゆえ,バブル崩壊後,零細建設業者が雪崩を打って倒産したのである.また,バブル崩壊後,行政の予算の使い道に関する情報公開を要求する声が強まったことで,建設業界と行政との癒着体質,さらには建設業界の談合体質を指摘され,行政依存体質は崩壊寸前となった点も,斜陽化に拍車をかけた.

IT業界は,未だデジタルディバイドが叫ばれていることからも判るように,まだ飽和状態ではない.それゆえ,成長産業と言われるわけだが,ここで思うのは,まもなくやってくるであろう「飽和状態」後,この業界はどうなるのだろうか,ということである.しかも,パイ(優良顧客)の減少と価格の叩き合いという嫌な兆候は既に現れ始めている.