一概に、喜んでいられない状況だと思うんですが。

シルバー人材センター 新たな仕事次々誕生
2006年07月15日15時19分
 テレビ番組制作、子育てサロン運営……。これまでのシルバー人材センターの仕事とは思えない仕事が全国で次々と誕生している。センターには補助金削減などの逆風が吹く。しかし、団塊世代の大量定年退職が始まる「07年問題」では、高齢者の受け皿となることも期待される。仕事の幅を広げて、存在価値の向上を目指す。
シルバー人材センターのビデオ班が地元ケーブルテレビの番組制作を請け負う=東京都武蔵野市

 7月7日、東京都武蔵野市内で、地元局の武蔵野三鷹ケーブルテレビのバラエティー番組「ススメ!実年探見隊」の撮影があった。地元で活躍するコーラスグループの練習風景を2台のカメラが追う。「シルバーによるシルバーのための番組」を目指す番組の撮影スタッフは、全員が東京都三鷹市のシルバー人材センター会員だ。

 同センターの安生祐子事務局長と同局のスタッフとの間で「カメラを扱える会員もいる。今までにないものを」との話があり、約3年前、元映像制作会社員らが中心になって「ビデオ班」が立ち上がり、今年から番組制作を任されるまでになった。スタッフの日野原利男さん(66)は現役時代は建材商社で営業職。「刺激があって楽しい」

 同センターではこれまで、公園清掃などの作業が中心だった。しかし、最近は会員による新しい仕事が増えてきた。

■民間との競争

 これまで、センターは駐輪場の整理作業など、公共施設の運営管理を請け負うことが少なくなかった。しかし、これらを民間に開放する指定管理者制度も始まり、参入してきた民間との競争になってきた。

 全国シルバー人材センター事業協会が実施した今年1月の調査では、同制度の影響で全体で約20億円の減収という。「センターを支えていた公の仕事がどんどん減っていく。独自性を出した仕事を作っていかないと」と安生事務局長。

 兵庫県西宮市シルバー人材センターの会員、森山道男さん(70)は「労働安全衛生マネジメントシステムのサポートチーム」を立ち上げた。

 職場で労災事故が起きないような仕組み作りを支援する。現役時代は建築現場での設計監理を担当、中小企業安全衛生指導員も兼ねていた。6人チームで、市内の食品加工工場からの依頼を請け負う。

■やりがい模索

 全国シルバー人材センター事業協会は昨年、ホームページで「しごとのひろば」コーナーを開設した。元新聞記者が開く地域での文章講座(東京都小平市)、商店街の空き店舗を利用した子育てサロンの運営(山口県防府市)など、これまでなかった仕事例を紹介している。将来は全国の会員の特技、能力をデータベース化して、依頼に素早く応える仕組みをつくる構想もある。

 00年度に64万人の会員数は05年度には77万人に増えたのに、00年度に215億円だった補助額は減っている。より魅力的な仕事を生み出し時代に対応したいという。

 また、高齢者に働き場所を提供することで、健康にも効果があるという。三鷹市シルバー人材センターなどの調査では、会員の1人当たりの年間医療費は市平均の半額だった。

 同協会の吉田徳博事務局長は「枝切りや駐車場整理のような作業だけでは会員をひきつけられない。民業とのバランスをとりつつ仕事の幅を広げたい」と話す。

      ◇

 〈キーワード:シルバー人材センター〉 75年、東京都でシルバー人材センターのさきがけとなる「高齢者事業団」が発足、80年には国の補助事業として「シルバー人材センター」と名付けられて全国に事業展開、60歳以上の高齢者が無償、有償での作業を請け負っている。とりまとめ役となる「社団法人全国シルバー人材センター事業協会」によると、05年度の会員は全国に1544団体で76万5000人、センターが受注する仕事の契約金額は3174億円に上る。

[asahi.com]

今後の少子高齢化社会・人口減少社会を考えれば、高齢者にも働いてもらおう、という考えはそれなりに妥当。でも、
主に若者が担うべき仕事すらも高齢者に分配してしまうというのはいかがなものか。仕事がない、職に就くことができない若年層を尻目に、高齢者が仕事を奪っていく、という状況は、ある意味考えもの。