穿った見方をしてみよう

これから,3つの記事を並べてみたい.

国家公務員1万9千人純減を決定 政府
2006年06月27日10時58分
 政府は27日、行政改革推進本部(本部長・小泉首相)と政策金融改革推進本部(同)の合同会議を開き、国家公務員の定員を10年度までに5.7%(1万9000人)以上純減することや、そのための配置転換の枠組みのほか、08年度に統廃合する政府系金融機関の制度の概要を決めた。

 首相は会議で「与党との協議、国会審議を踏まえて決定したものだ。具体化、法案化を進める。各閣僚が先頭に立って取り組んで頂きたい」と指示した。過去最大規模の2900人以上にのぼる配転対象者の受け入れは、各省庁が新規採用を抑えて対応する。

 一方、国民生活金融公庫など5機関が統合する新政府系金融機関と、完全民営化する日本政策投資銀行商工組合中央金庫は、08年10月に政府が株式を持つ特殊会社として発足する。政投銀と商工中金は2013〜15年をめどに政府保有株を売却する。公営企業金融公庫は08年度に廃止し、かわりに地方自治体が共同で資金調達のための新組織を設立する。
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市町村合併で地方公務員の総数を減らそう,という動きが一段落した以上,次は当然国家公務員に向かうわけだ.そして連鎖的に再度,地方公務員側の人員削減に向かうわけですな.

景気回復で解消できぬ再就職の「壁」指摘 国民生活白書
2006年06月20日10時30分

 猪口・少子化男女共同参画相は20日の閣議に、06年版の国民生活白書を提出した。希望通りの職につけなかった人の「再挑戦」に焦点を当て、副題を「多様な可能性に挑める社会に向けて」とした。再挑戦が可能な社会にすることで労働力の減少緩和、少子化の抑制、格差の固定化回避の三つの効果があるとしている。

 白書によると、自分に向いていると思う職業に再挑戦したいと考えている若者(15〜34歳)は04年に約560万人で、80年代後半から90年代前半に比べて100万人以上増えている。

 ところが、バブル崩壊後の景気低迷の影響で不本意な就職をした若者や、出産後に再就職を望む女性らが働きたい仕事に就こうとしても、企業の採用が硬直的で受け皿が少ないと白書は指摘。景気回復では解消できない「再就職を阻む壁」として、企業のうち(1)73%が既卒者を「新卒枠」から除外(2)30%がフリーター経験者をマイナス評価(3)単純労働が多い非正社員は専門能力を身につけにくい、などを挙げた。

 子供のいる女性については、子どもが小さいほど再就職希望が多いという調査結果があるが、現実は仕事と育児の両立が困難で大半は求職活動もできていないと指摘した。
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内閣府白書、格差問題に焦点 青少年白書は自立支援特集
2006年06月27日11時09分
 内閣府が今月に入って発表した各種白書で、「多様な可能性に挑める社会」づくりが盛んに強調されている。27日付で発表した06年版「青少年白書」でも、フリーターやニートの実態を紹介。若者の自立を支援する事例を特集に組んだ。安倍官房長官が「再チャレンジ政策」を掲げ、自民党総裁選でも争点の一つになると見られる格差問題だが、内閣府の担当者はそうしたことを意識して作っているわけではないという。

 青少年白書によると、フリーター・ニートの人口は計265万人。中卒の7割以上、高卒の5割近くが就職後3年以内に離職するなど、若者が職場に定着しない実態を指摘した。特集では、若者の社会的自立を促すため、3カ月の合宿訓練で職業体験などを行う「若者自立塾」事業などを紹介した。

 ほか、20日付で発表された「国民生活白書」では副題が「多様な可能性に挑める社会に向けて」。9日付発表の「男女共同参画白書」でも、出産や子育てで離職した女性の再就職推進を掲げた。
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「小さな政府」を目指している以上,行政が「雇用の受け皿」としての立場を放棄することは当然だが,「中高年公務員の既得権益は保護するけど,新規は採用を抑制する」という基本方針は如何なものかと.そんな基本方針を打ち立てておきながら,若年雇用問題云々とか突っ込んでくるあたり,矛盾していないか?

天下り」が物凄い批判を浴びている昨今.中高年の公務員を削減しようとしても,その再就職先を確保することは非常に難しい.ここで,上に挙げた記事中の「ニート」や「フリーター」,「若者」と言う言葉を,「天下りの出来なかった公務員」と置き換えてみると,あら不思議・・・各種白書を作成する側の公務員が,自らの再就職先を確保するために「再挑戦可能な社会」を目指しているのかもしれませんよ.
下二つの記事中にも出ているけれど,民間企業は慈善事業じゃないので,なんの技術も持っていない人間を雇うつもりはないよな.