この取り組みには,もうひとつの効果があるかもしれませんね.

部活動に校外の実力者、めきめき上達 横浜の聖光学院
2005年11月07日10時56分

 横浜市の私立中高一貫校聖光学院」は4年ほど前から部活動に校外から指導者を招いている。

 弦楽オーケストラ部には市民楽団のバイオリニスト、空手道部には仕事のあと道場で教えている会社員といった具合。現在、6部に民間人の顧問がいる。大半は近隣に住む。いずれも教員の顧問と組んで指導している。

 顧問への謝礼は今のところ学校が支出し、保護者の負担はないという。

 中学の囲碁将棋部はこの夏、「小・中学校囲碁団体戦」で全国3位に。教員の顧問に加え、4月から佐山実登理(みどり)さん(30)を指導者に迎えた成果が、すぐに出た。

 佐山さんはプロではないが、昨年死去した加藤正夫名誉王座に師事していた。学校の近くで両親とレストランバーを営むかたわら、地元のロータリークラブの「囲碁の会」で教えている。

 工藤誠一校長(50)が、たまたまロータリーに入会し、佐山さんの存在を聞いた。「大会で活躍した中3生3人は、大会前から顧問の教員より囲碁が強くなっていた。彼らを指導できる人を探していたら、すぐそばにいました」

 佐山さんは「男子校だし、私は茶髪だし、いいのかな」と思いつつ引き受けた。始めてみると、「親しみやすい先生。指導はわかりやすい」と主将の東成樹さん(15)。すっかりなじんでいる。

 部活指導の「外注」を発想した理由を、工藤校長はこう話した。

 「一つは、教師の負担軽減。放課後は生徒の補習や質問を受ける仕事がありますから。もう一つは、生徒の満足感。勉強だけでなく部活だって専門家に教わる方がいい。それに、地元の人に頼めば、学校と地域のつながりも深まります」

[asahi.com]

現場教師が抱く苦悩は,「事務処理の多さ」や「部活動の指導」といった,本来の仕事である授業以外の面に対しても膨大な時間を割かなければいけない,という「絶対的な仕事量の多さ」にある,ということが頻繁に取り上げられている.この私立中高一貫校の取り組みは,そういった教員の苦悩を和らげる効果が高いであろう.
また,児童・生徒にとってみても,各分野のアマチュアである教員による指導ではなく,「本物」の指導を受けることで,学業以外の分野におけるモチベーション,そして技術両面のレベルアップ→達成感の攫得→学業面に対してもモチベーション向上といった,プラスのスパイラルを図ることができそうだ.
そして,学校と地域社会との隔絶,という近年取沙汰されている問題をも軽減する可能性がある.是非他の学校でもやって頂きたい方法だと考えるが,公立学校にとっては外部講師に対する報酬という面がネックになりかねないかなぁ.ボランティア,と言うわけにもいかないだろうし・・・