「文化」のある街.

閉店惜しみ置きレモン 小説「檸檬」ゆかりの京都・丸善
2005年10月02日13時22分


丸善」京都河原町店に客が置いていったレモン=京都市中京区で

 10日に閉店する書店「丸善」京都河原町店で、売り場の本の上にレモンを置いて立ち去る客が相次いでいる。作家梶井基次郎(1901〜32)の短編小説「檸檬(れもん)」の主人公が京都の丸善の本の上に、近くの果物屋で買ったレモンを置いたのをまねて客がそっと置いていくらしい。

 これまでも年に数回、レモンが置いてあった。それが閉店が決まった今春から徐々に増えはじめ、現在11個。いずれも、レジの店員から見えない所に置かれていたという。

 店では忘れ物としてバスケットに集めて、「檸檬」の文庫本のわきに置いている。文庫本もここ数日、1日60冊も売れており、急きょ1000冊を追加注文した。

 丸善が京都に出店したのは1872年で、小説の舞台になった旧店舗は現在地から約400メートル北西にあった。丸善京都市内の別の場所で店を復活させたいとしているが、適当な店舗はまだ見つかっていない。伊藤博店長は「京都の店をこんなに愛してもらって、心底うれしい」と話している。

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檸檬」そのままの行動をとって,その閉店を惜しむ客と,それを受け入れる店舗.(明治以前の)歴史の街といわれる京都だが,京都大学を中心に,明治期以後もこの街には確かな「文化」が生まれている,ということを証明しているのではないだろうか.