制度見直し?

経済統計見直し論 役所ごと同様調査/時代に合わぬ

 各省庁などが個別で調査している「経済統計」をめぐり、見直し論議が高まっている。アンケートなどを依頼される企業側の事務負担が重いのに加え、「時代のニーズに合っていない」との不満が根強いためだ。内閣府では改革委員会を設置し、21日から改革に向けた議論を本格化させる。経済統計全体を統括する「司令塔」を設ける案などが浮上しているが、各省庁の縄張り意識も強く、政府の公務員制度改革もからんで調整は難航しそうだ。

 政府の経済統計は、その業界を所管する省庁や総務省内閣府が定期的に企業などにアンケート調査を実施して集計する場合が多い。このため、企業側は「形式が異なる同じような調査を何度も求められる」(大手メーカー)という不満を募らせている。

 日本経団連では、統計に関する予算や職員の配分にも偏りがあると指摘する。とくに地方に統計の出先機関を持つ農水省は、政府全体の統計予算の28%、職員の77%が集中している。「国内総生産(GDP)の1%相当の農業分野に対し、予算の3割弱を割くのは極端すぎる」(日本経団連経済本部の浜厚副本部長)という。他省庁は調査を自治体に委託しているが、農水省は約4300人の出先機関職員が自前で調査しているためだ。

 一方でGDPの7割を占めるサービス業の動向を月や四半期ごとでみる統計がほとんどないとの声も目立つ。経団連では「企業活動が多角化している中で事業内容別の統計が少なく、とくに観光分野などで情報が不足している」と指摘する。

 これを受け、内閣府は「統計制度改革委員会」(委員長・吉川洋東大大学院教授)を発足させ、21日から検討作業を本格的に始め、来年夏までに結論をまとめる。最大の難題は必要性の高い統計調査に予算や職員を重点的に振り向けながら必要度の低い統計調査を中止できるかどうかだ。

 また、改革委では各省庁が実施した統計を統括する司令塔の創設なども検討する方針だ。吉川委員長は「農水統計の職員をサービス業関係の担当にする案もある」と改革に意欲を示す。「司令塔には統計調査を民間に委託したり、予算配分に口出しできるような強い権限も不可欠」(日本経団連)との声もある。

 だが、各省庁にとっては、統計の一本化や職員配置の見直しなどを進めるのは避けたいのが本音。このため、政府内には司令塔を部署としては新設せず、「総務省内閣府の機能を連携させたバーチャル(仮想的)なものにする」という妥協案もあり、まだ着地点はみえない。(中川真

【2005/09/18 産經新聞東京朝刊から】

(09/18 08:19)

確かに、第1次産業は国家の礎であるが、就労人口やGDP等、経済の実勢に合うように様々な変革が求められて然るべきだ、と思う。だが、第1次産業を軽視しすぎることも問題。