駅弁大学に死刑宣告の予感

大学の質、「世界標準」で比較 今秋、ユネスコなど指針
2005年09月15日15時17分


世界的な大学の質保証 ネットワーク構想

 大学にもグローバル化の波が押し寄せてきた。留学生が相互に行き交い、海外分校の設置も進む中で、大学が提供する教育の質を保証するための世界的なネットワークをインターネット上に構築し、各国の大学を比べられるようにする動きが始まった。「世界標準」が定まることで、国内でも生き残りをかけた厳しい競争が続く日本の大学は、国際的な比較の目にもさらされることになる。

 世界標準となるのは、「国境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドライン」。ユネスコ総会と経済協力開発機構OECD)理事会で10月と11月にそれぞれ採択が予定されている。このガイドラインは、各国政府や大学が取り組むべき指針を示す。

 具体的には、加盟各国に対して、「大学の国際的な認証評価制度の構築」を呼びかける。いまの大学の認証評価制度は、それぞれの国で第三者機関が設置されて、大学に立ち入って教育内容のチェックが行われているが、日本に限らず将来的には国際機関のもとで実施することを構想している。

 ガイドラインには、各大学には「教育内容が国際的に信頼され通用するものか」「学位に関する情報の提供」などを促す内容が盛り込まれている。

 数年以内には各国が協力して、世界中の学生がインターネットで各大学の教育内容をチェックできる「情報サイト」を構築することを目指している。

 文部科学省によると、この情報サイトができると、各大学の教育内容や、授与される学位の中身、その大学が第三者機関からどのような評価を受けているかなどが一覧できるようになるという。

 いまは、それぞれの国や大学で学位を取るのに必要な年限や単位数が異なるうえ、同じ中身の学位でもその名前すら違う場合がある

 いままでは、各国の学生は、それぞれの大学のサイトを調べるなどして留学先を選ぶしかなかったが、世界的情報サイトがつくられると、ここを窓口にして「世界標準」に照らし合わせながら、候補の大学を比べることができるようになる。

 いかに優秀な留学生を受け入れるかは、国内の各大学の関心の的だ。単位互換や共同研究などについて、日本の大学が海外の大学と結ぶ交流協定がこの5年間で倍近い1万1292件にのぼった。海外拠点を置く大学などは60を超えており、広報拠点に据えて優秀な留学生を確保しようとする各大学の思惑がうかがえる。ある大学関係者は「大学が受けた評価を英訳してサイトにのせるのは大変な作業だろうが、国際競争力をつけて生き残るにはそんな泣き言は言っていられない」と話す。

 世界的ネットワークがつくられるきっかけになったのは、米国やオーストラリアなどで高等教育の実質を備えていないのに「学位」を乱発する大学や大学院が問題化したためだ。このため、03年10月のユネスコ総会で国際的な質保証に取り組むことが決議された。

 この議論には日本も積極的に加わっており、文科省は世界的ネットワークの構築を控え、まず国内の情報サイトを立ち上げる方針だ。

[asahi.com]

少子化という日本国内の「数」の上での内的要因に加え,「質」を求めよ,という国際的潮流の到来と言う外的要因によって,日本国内で教育水準的に問題のある大学は,その存立基盤すら失う惧れがある(国立,私立不問)

それは,今現在最も流布している大学経営手法である,「頭数を揃えるためだけに,能力的には大学レベルに到達していない留学生すらも入学させる」という「質より量」を重視した戦略が根柢から否定されるためである.