粉飾決算-大企業病のツケ

「融資停止恐れ継続」 カネボウ粉飾、元社長ら2人起訴
2005年08月19日03時04分

 カネボウの旧経営陣による粉飾決算事件で、同社元社長の帆足隆容疑者(69)が「債務超過になると銀行の融資が止まって資金が回らなくなると思った」と関係者に話していることがわかった。主力銀行だった旧さくら銀行(現三井住友銀行)出身で元副社長の宮原卓容疑者(63)から指摘されて危機感を強めたと語っているという。東京地検特捜部は元社長らが融資の停止による経営破綻(はたん)を恐れて粉飾を本格化させたとみている。

 特捜部は18日、2人を証券取引法違反有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴した。ともに逮捕した元常務(59)は関与が従属的だったとして処分保留で釈放した。今後、不起訴処分(起訴猶予)にする見通し。同社が産業再生機構の支援下にあるため、法人の立件は見送った。東京地裁は同日、帆足元社長と宮原元副社長の保釈を認める決定をした。

 調べでは、帆足元社長らは02、03年の各3月期(01、02年度分)の決算でそれぞれ800億円を超える粉飾をし、実際には債務超過だったのに利益が出たように虚偽の記載をしたとされる。

 関係者によると、カネボウは96年に連結決算で債務超過に転落。帆足元社長が社長に就いた98年にはすでに計2000億円を超える不良在庫や焦げ付き債権を抱えていた。

 その後、金融機関の「貸し渋り」や「貸しはがし」が進むなか、帆足元社長は宮原元副社長から「純資産がマイナスになると銀行の融資が止まる。業務に必要な現金が不足する」と報告を受けたとされる。元社長は銀行出身の宮原元副社長が言うのだから確かだろうと考え、巨額の粉飾を続けたという。

 特捜部はカネボウ粉飾決算は70年ごろから続き、大幅な債務超過につながったとみている。このため75年から会計監査を担当していた中央青山監査法人を捜索し、当時の決算関係書類を押収するなどして裏付け捜査を進めている。
[asahi.com]

赤字体質の企業が融資停止をくらう前に行うべきことは,「如何に誤魔化すか」ではなく,如何にして自己資本比率を向上させ(要は借金を返して),キャッシュフローの回転を良くする(要は現ナマで稼ぎを生み出すこと)か,という方法論を模索することである.そんなことは中小企業経営者のほうがよっぽど良く知っている.
組織が大きくなると,「金を稼ぎ,組織構成員に利益を再配分すること」という営利団体の最終目標よりも「組織の体面やブランド,プライドを維持すること」という副次的な目的のほうを追求する傾向が現れるが,このような傾向は本末転倒である.