ビジネス,経済活動とは

モノや人,情報,エネルギーといった,ありとあらゆるものの"流れ"を"貨幣"というものの流れに変換する行為である.手段,方法論*1においては個々人の「努力」や「感情」が加味される場合があるが,企業活動の内容は最終的に4半期,半期毎の中間決算,年度毎の収支決算に収斂される.と同時に,この収支決算においては,「感情」,「主観的な『技術力の高さ』」といった,「数値化不可能」なものは完全に排除される*2.結局,ビジネスは,最終的に「金額」というデジタルな要素で評価されるものであり,アナログ的,感覚/感情的,主観的なものを評価対象に持ち込むことは論外なのである.このことは,優秀な(=稼ぎの良い)経営者/ビジネスマン=人格者/聖人君子なのか? 儲かっている企業=労働環境が良好なのか? といった等式が成り立たないことからも自明である*3.
ビジネス(経済活動)の結果と,社員個々人の「道徳」「感情」といった人間的,社会的な評価は基本的に虚数空間における実軸と虚軸のごとく,互いに直交する(相関性が無い)分野なのである*4
(経営者ではなく,組織としての)企業は,利益という"ビジネス軸"の因子を増大させることが最終目的であるため,「社員/顧客個々人の幸福」や「道徳観念」に相反する行動,すなわち"人間・社会軸"の因子を減少させる行動を取る可能性があることを否定できない.このような「法的には合法であっても,人道,社会通念に反する」企業の行動にブレーキを掛け,"人間・社会軸"の因子を増大させるべきモノが「企業倫理」や「経営理念」と呼ばれるものであり,これらを具現化するための素材が,経営者や社員個々人の感情,人格,ポリシーとなるのである*5.また,この企業倫理や経営理念をビジネスの材料である「付加価値」に変換したものが「企業イメージ」の一部分であったり,『環境にやさしい』といった「商品イメージ」であったりするわけである.

*1:具体的には社内業務の円滑化や営業活動,人事考課など

*2:赤字を出しておきながら,「がんばってます」,「苦労した」,とか,何の根拠も無く「うちの会社は技術があるから大丈夫」といった類のことを株主総会で発言したところで,株主からボロクソに言われて終わりである.銀行などに対して融資を依頼する場合においても同様である

*3:企業内部にとっては,これらの等式が成り立っていればいいことではあるのだが...

*4:厳密には無関係ではないのだが,日本国内においては,互いの相関性がきわめて疎であり,かつ,これらの要因がビジネスの結果に与える影響は瞬間的なものであるため,この場ではこのように言い切ることにする.ただし,社員個々人ではなく,組織全体のモラル低下などは結果にも影響を及ぼす.

*5:だが,このページ(要会員登録)にあるように,国内でこれらが形骸化している事実も明白