談合防止とはあまり関係ないんじゃない?

入札参加、保証義務付け 国交省、不良業者を排除
2006年09月08日21時40分
 国土交通省は8日、同省の直轄事業でおこなう一般競争入札に参加する建設業者に、金融機関の保証(ボンド)の取得を義務づける「入札ボンド制度」を創設すると発表した。同省が相次ぐ談合事件を受け検討してきた入札改革の一環で、資力や信用力のない業者の排除により、ダンピング受注を防ぐ狙い。他省庁の直轄事業や地方の公共事業でも普及をめざす。

 今回対象になる公共事業は、入札予定価格が7.2億円以上の大規模な土木工事。入札に参加する業者は損害保険会社などの金融機関にボンドの発行を申請。金融機関は業者の財務内容や資金調達力を審査し、履行能力があると判断すればボンドを発行する。ボンドを引き受けた金融機関は、落札業者の経営破綻(はたん)などで工事が中断した場合、連帯保証責任を負う。業者は入札実施前に発注者側にボンドを提出すれば、入札保証金の納付が免除される。

 今年度は、東北、近畿両地方整備局が来年2月以降に実施する入札十数件で導入する。国交省は05年度から一般競争入札の対象を2億円以上に広げており、最終的にすべての入札でボンド取得を求める方向
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金融機関の裁定による「資力や信用力のない業者」というものは、得てして(規模的に)中堅以下、特に中小・零細企業や新興企業に数多く存在します。そして、大規模案件を対象にボロ儲けを画策する談合を行っている業者、というものは全く逆に、資金調達力が強力な「超大手」の企業であることが多いのですが・・・結局、談合防止にならないじゃん。
「技術もないのに安い札入れを行う業者」も確かに「不良業者」に属する業者ですが、「真の不良業者」は、「積算、見積額を無視するような入札額を先に決定して、自分の都合で下請業者に安い納入価格を押しつけ、こき使う業者」のことであると私は考えます。そんな業者ほど(極限までコスト削減しているので)財務面が優良だったりしますよ。財務面の調査より技術審査や実績管理を行う方がよっぽど重要だと思うんですけど。
最初に導入される予定である「入札想定価格が7.2億円以上」といった大規模案件限定であれば、この制度は特に問題ないと考えられますが、「全ての入札」となると話は変わってきます。この朝日の記事が国交省の意向を正しく表現しているものであるならば、国交省のこの方針は大企業ばかりを保護し、中堅以下の企業による新規参入を阻害するものであり、企業規模に起因する企業間格差の拡大を助長する改悪であると考えざるを得ません。