母亀が産卵時に流す涙や、一生懸命海に向かっていく子亀の姿を見ると、なぜかほろりとしてしまいますよね

アカウミガメ謎多い生態解明へ 屋久島 
2006年07月23日15時45分
 北太平洋最大のアカウミガメの産卵地で知られる鹿児島県・屋久島の上屋久町で、6年前から上陸数が増えている。孵化(ふ・か)した子ガメに目印をつけて追跡して調べる機会が増える見込みで、「謎だらけの生態の解明につながる」と期待が広がっている。

(写真:午前5時半ごろ、産卵を終えて必死に海に戻る母ガメ=鹿児島県上屋久町の永田浜で,省略)
(グラフ:上屋久町へのウミガメ上陸数, 省略)

 「フー、フーッ……」。甲羅の長さ75センチ前後の母ガメが苦しげに息を吐く。お尻から「ボタボタッ」と小さな音がした。つやつや光るピンポン球大の卵がぎっしり産み落とされていた。

 午前2時、屋久島北部の永田浜。5〜7月の産卵期は多くのアカウミガメが上陸する。浜は05年11月、国際的に重要な湿地を指定したラムサール条約に登録された。

 県環境保護課によると、上屋久町への上陸が増えたのは00年から=グラフ。03年から3千頭を超え、04年は5051頭に。ところが、05年は3079頭で、今年7月中旬までの上陸数も05年同期の6割ほど。同課は「さっぱり理由がわからない。産卵が遅れている可能性もあり、何とも言えない」と首をひねる

 NPO法人・日本ウミガメ協議会(大阪府枚方市)によると、日本への上陸数は00年ごろから微増しているが、今夏は全国的に減る傾向で05年の3分の1程度。ただ、90年代より上陸数は増えており、長期的な増加傾向は変わらない

 アカウミガメの寿命や成熟年齢は不明だ。生まれた浜で産卵する母浜回帰説が正しいかどうかもわからない。

 NPO法人屋久島うみがめ館代表の大牟田一美さん(55)は、70年代初めに卵の保護を始めて約30年後に上陸数が急増した点に注目する。「母浜回帰説に立つと成熟年齢は約30歳か」と推測。02年からは孵化した子ガメ計1598頭の体内に識別用のタグを埋め込んでいる。「子ガメたちが浜に帰って卵を産めば成熟年齢がわかるし、生態も解明できる。昨年からの上陸数減少も何かわかるかも」と期待する。

 日本ウミガメ協議会の島達也研究員(39)は「太平洋を旅したアカウミガメが最初に着くのが永田浜。また30年後に子ガメたちが戻ってくるのを夢を持って待ちたい」と話している。
[asahi.com]

身近にあっても、あまりにも大きくて全体像を掴み難い「海」という存在には、やっぱり不思議がいっぱいあるようです。