意外な余波

育英奨学金の返済滞納、最多の14万人
 日本学生支援機構(旧日本育英会横浜市)の育英奨学金の返済を1年以上滞納している人が2005年度末時点で、14万2000人と過去最高だったことが12日、同機構の調査で分かった。不良債権として扱われる3カ月以上の滞納も18万5000人に上った。

 滞納理由を「無職と失業」と答える人が増加傾向にあり、奨学生の多くが卒業後も経済的に厳しい状況に置かれている実態が浮き彫りになった。

 支援機構は「卒業後すぐに就職できない人が多いとみられ、奨学金の踏み倒しが横行しているわけではない」としている。

 支援機構によると、05年度末時点で1年以上滞納した人は前年度の13万4000人から6%増加し、滞納残高は1221億円だった。

 滞納理由について、育英会の01年度調査(滞納が3年以上4年未満の約3300人が回答)では「無職や失業」と答えた人は7%だったが、支援機構の05年度調査(滞納1―2年の約1800人が回答)では20%と理由のトップだった。低所得も01年度の19%から05年度の22%に増えた。 (14:32)
[共同通信, asahi.com]

単純に考えれば,フリーター, ニートといった若年雇用問題の余波でしょうね.裏読みすると,所得があまり多く無い家庭の子供は

  • 就職時に「有力なコネ」が使えないので,あくまでも就職は実力勝負(親の社会的地位の問題).
  • 起業を志しても,手持ち資金はなく,融資元のアテも無い(家庭の経済状況)

そんな状況が存在して,親の所得が子供の所得にも影響する社会,所謂「社会階層の固定化」が進行しているという事実を端的に示す事例なのかもしれませんね(こじつけっぽいけど)

「貧しい家庭出身だけど,学業に対する意欲があって優秀な学生を助ける」という趣旨で設立された奨学金制度は,「大学を卒業した人間は将来高給取りになる」という前提の下「融資」したり「資金提供」する制度*1だったわけですね.ところが大学全入時代に突入している昨今,当然ながら設立当初の前提条件は両方とも崩れつつあるわけですな.そこで2,3年前に一度,大幅なシステム改訂を行っているものの,さらなるシステム改訂を迫られているのかもしれませんね.

*1:2,3年前のシステム改正までは,教育関係に就職すれば返済免除だった