自然災害の思わぬ副産物

法華経全題目記した礫石経発見 東松島 曲げ物も出土

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◆きっかけは連続地震墨で法華経の全題目が書かれていた礫石経

 宮城県東松島市教委は10日、市史跡の矢本横穴墓群で新たに4基の墓穴が見つかり、1基から法華経の題目32のすべてが墨で書かれた礫石経(れきせききょう)が出土したことを明らかにした。市教委によると、礫石経は全国で約40個発見されているが、法華経の題目の一部や経文の何文字かが記されている程度で、題目全部が書かれているのは珍しい。

 礫石経は、縦10.4センチ、幅6.2センチ、厚さ3.7センチ。河原石の裏表に「妙法蓮華経信解品第四」などの法華経の題目が書いてあった。

 ほかに4基のうち3基から、火葬した骨が入った直径18センチの木製の曲げ物の一部や「嘉元2年」(1304年)と刻まれた供養碑なども見つかった。曲げ物について佐藤敏幸学芸員は「これまでは、火葬骨を何に入れて埋葬したかは推測の域を出ていなかった」と説明した。

 7、8世紀ごろに造られたとされる矢本横穴墓群では、2003年の宮城県連続地震の際、史跡指定地近くで崩落した丘陵斜面に10基の墓穴が露出し、調査が始まった。昨年は計42基が発見され、全体で200基を超えると推測されている。

 今回の調査は今年9月から行われ、一般公開を前に報道関係者に公開した。一般公開は13日、同市矢本上館下の調査現場で午前10時から午後3時。

2005年11月10日木曜日
[河北新報]

1304年と言えば,鎌倉後期あたりでしょうか.鎌倉仏教の伝播とも絡んで興味深いですね.
現代人にとって見れば,図らずも自然災害が興味深い過去の事実を明らかにした,と喜ぶでしょうが,埋葬されていた人にとっては,その安寧を妨げられて,はた迷惑な話なのかもしれません.