「文化」を護り,生み出すためには

<10月18日更新>
重光オーナーに心からのお祝いを!

 ロッテが31年ぶりに、パの覇者になりました。
 優勝の原動力は、バレンタイン監督の手腕ですが、球団を持ち続けてきた重光武雄オ−ナ−の存在も忘れてはなりません。
 重光オ−ナ−は球団を持ちたくて、持ったわけではありません。岸信介元総理から依頼され仕方なく東京オリオンズを買いました。
 しかし、チ−ムの成績は上がらず「パのお荷物」と言われた時代も。
 この間、球団は毎年、数十億、最近では30億円を超える赤字を出し続けていました。その赤字を本社は黙々と負担してきたのです。
 バブル崩壊後、ガムやチョコを安売りス−パ−で売っても、本社の利益はなかなか上がりません。
 球団が重荷にもなってきました。担当記者時代、私は何度か重光オ−ナ−に会いましたが、愚痴が多くなりました。
 「どうして巨人はお金も人気もあるのに、自分のところに有利な制度ばかり取り入れるのかね」。
 これは逆指名ドラフトやFA制度を導入したときのコメントです。
 「バレンタインが監督をやるならコ−チは全員辞める。広岡さん(当時GM)がそう言うのでね」。10年前のバレンタイン監督解任の真相を話す顔は苦渋に満ちていました。
 しかし「球団を売る気はないのか」という私の質問には「50億円ぐらいの赤字までなら持ち続ける」と毅然と答えました。
 経営者としての意地というより、ロッテを日本一の製菓会社にしてくれた野球界への恩義が頭にあるのではないかと思えました。
 「球団経営もビジネス」が今流のオ−ナ−の考えですが、球界には重光さんのようなオ−ナ−も必要ではないのでしょうか。

[日刊スポーツ 「まゆげのノーさん」]

ホリエモンや三木谷のような,単なる「金の盲者」は,絶対に文化を生み出すことはできない.
上に挙げた記事に登場する重光オーナーのような剛毅な人が,本当の「パトロン」であり「オーナー」である.イタリアで文芸復興がおこったのも,今で言うクリエイターたちを支援するメディチ家等の富豪の存在あればこそ,ということからもわかるんじゃないだろうか.