懲罰が懲罰になっていない・・・

引きこもり受刑者急増中 作業サボって独居房
2005年09月20日16時31分

 全国の刑務所で、刑務作業を怠ったとして独居房に入れられる受刑者が増えている。集団生活になじめず、懲罰覚悟で1人の世界に逃げようという受刑者が増えたのが原因の一つらしい。過剰収容問題も背景にあり、刑務所内の「引きこもり」に国も手を焼いている。

 懲役刑の受刑者は、印刷や金属加工などの刑務作業が義務づけられており、従わなければ「怠役」とみなされる。集団で生活する雑居房から3畳ほどの独居房に移り、5日前後にわたって反省を促す懲罰を科されるのが一般的だ。読書なども禁じられ、刑務作業もしない。

 法務省によると、95年に怠役による懲罰を受けたのは1654人で、全体の7%。ところが00年には4177人で13%、04年には1万388人で22%と急増し、懲罰理由の中で1位を占めた。

 怠役の一番の動機は「人間関係」だ。埼玉県の川越少年刑務所では、ほとんどが「集団の中で生活したくない」「人間関係がわずらわしい」と答えるという。懲罰を重ねれば仮釈放の審査にも影響するが、それでも1人になりたい思いの方が強いようだ。

 同刑務所に収容されているのは26歳未満の若い受刑者たち。中島学庶務課長は「この世代にとって、集団生活といえば学校の修学旅行や合宿くらい。1人で生活するのに慣れており、共に寝起きして働くのはストレスが大きいようだ」と語る。

 過剰収容の問題もある。昨年の「怠役」が819人と、懲罰の3割を占めた東京都の府中刑務所では、定員2842人に対し、収容者は約3150人。大きなちゃぶ台のようなベッドを雑居房に入れ、6人部屋に8人が暮らす。畳で寝る受刑者は、ベッドの脚の高さ数十センチのすき間に足をつっこむ。

 佐藤栄男調査官は「昼は集団で作業し、夜は1人で寝るのが理想。だが、そんな余裕はない」と指摘する。

 雑居房に帰りたくない受刑者は、懲罰期間が終わると刑務作業をボイコットして、再び独居房行きとなる。「無理をして雑居房に戻せば、受刑者同士のけんかなどに発展する」と矯正関係者は悩む。
[asahi.com]

アリストテレスによる「人間は社会的動物である」との言葉が通用する相手であれば、「孤独」は懲罰となり得る
たしかに、逮捕以前から自ら進んで引きこもっていた若年層が犯罪に走り、収監されてしまった場合、「独房」は懲罰にならないなぁ、と気づかされたニュース。