アツイ男達

試合前乱闘!田口の前日死球で…両軍コーチ、監督が殴り合い
2005年8月26日(金) 8時4分 サンケイスポーツ

 【ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)24日(日本時間25日)】田口壮外野手(36)所属のカージナルスとパイレーツが、試合開始96分前に前代未聞の乱闘劇を繰り広げた。パ軍のロイド・マクレンドン監督(46)とカ軍のデーブ・ダンカン投手コーチ(59)の口論が発端。前日の田口の死球が一因で、本人も驚くしかなかった。試合はカ軍が快勝。両リーグ80勝一番乗りを果たした。

 日本では絶対に考えられない光景だ。開門前、静かだったPNCパークに突然、怒号とパンチが飛び交った。試合開始96分前に起こった前代未聞の大乱闘。小柄な田口の姿もあった。

 「こんなの初めてですよ。ビックリしました。あのあと、審判団から『何を言っても退場』という注意があったみたいです」

 田口にとって「人生初」という試合前乱闘は、パ軍の打撃練習終了直前に起きた。ケージ裏にいたパ軍のマクレンドン監督と、一塁ベンチ前でウオーミングアップを始めたカ軍のダンカン投手コーチが口論。パ軍のジェラルド・ペリー打撃コーチ(44)が乱入したのをきっかけに、両軍の肉弾戦が始まった。

 ときに午後5時27分。試合中なら制止する審判団がおらず、グラウンドは無法状態に陥った。開門直前で偶然いた警察官6人や球場警備員が止めに入ったが、両軍のつかみ合いは収まらない。最後は、一塁ベンチ横でインタビューを受けていたカ軍トニー・ラルーサ監督(60)と、マクレンドン監督が約20分に及ぶ話し合い。その後、審判団から両監督への“事情聴取”も行われ、警告が出された。

 同じナ・リーグ中地区で、昨季も乱闘を起こした両軍間には、前日から不穏なムードが漂っていた。22日にパ軍のホセ・カスティーヨ内野手(24)が、カ軍のヘクター・ルナ内野手(25)のスライディングを左ひざに受けて故障者リスト入り。前日は報復死球を狙ったような場面を経た上で、とうとう九回に田口が左手甲への死球で退いていた。

 田口に死球を浴びせたパ軍のライアン・ボーゲルソン投手(28)は制球が悪く、カ軍のスコット・ローレン内野手(30)を頭部死球で退場させた“前科”もある。パ軍はカ軍の再報復を警戒。つまり田口の死球が、今回の乱闘を招く最後の引き金となっていたのだ。

 審判団からの警告で「試合中はヤジも飛ばさないし、判定に抗議もしない。ものすごく静かでした」(田口)という異様な雰囲気の中で始まった試合は、カ軍の怒りが爆発。一回に打者11人の猛攻で5点を先制して8−3で逃げ切り、両リーグトップでシーズン80勝に達した。

 ラルーサ監督にとっては、あのスパーキー・アンダーソン(元タイガース)に並ぶ史上3位の通算2194勝目。田口にとっても、ラルーサ監督にとっても、忘れられない白星となった。

[ 8月26日 8時4分 更新 ]
[サンケイスポーツ]

前代未聞の泥仕合.怨みつらみもメジャー級.