その浮沈を賭した論争に終止符

マリモ、やっぱり浮いた 阿寒湖、80年余の論争に決着
2005年08月22日16時10分


水面近くをただようマリモ。形ができあがる前の、丸くないマリモもある=北海道阿寒町の阿寒湖で

 北海道・阿寒湖の国の特別天然記念物マリモがこの夏、初めて浮き沈み現象をみせ、関係者を驚かせている。藻の表面に光合成でできた酸素の泡がつくと浮くことは水槽実験で実証されていたが、湖で確認されたことはなかった。これで80年余に及んだ浮沈論争に終止符が打たれた格好だ。

 マリモが浮きあがったのは湖東端の景勝地・滝口近くの入り江。7月初め、阿寒町教委の学芸員でマリモ研究を続ける若菜勇さん(47)が見つけた。水深約1メートルの湖底一面に緑の藻が広がり、天気がよい日は3〜5センチの数百個が水面や水中に漂う。夜になれば沈む。

 浮沈論争は1923年、西村真琴・北大教授(故人)が掲げた「浮沈説」に始まる。「晴れれば浮かぶ水の上 曇れば沈む水の底」の歌詞で知られる「毬藻の唄」が何度もレコード化やCD化されてきた。小学6年の国語教科書でも「浮沈する」と紹介された。

 その都度、現場の研究者たちは反論。暴風雨や、腐敗でたまったガスで浮く例があるだけだとし、「浮沈しない説」が主流になっていた。

 今年初めて観察されたことについて、若菜さんは「大型遊覧船の航路変更が原因」とみる。30〜60分間隔で日中運航していた滝口コースが今年からなくなり、群生地付近にさざ波が立たなくなった。このため、藻の表面についた気泡がはずれにくくなったと分析する。

 100年以上前から群生する北端の2カ所は、普段から大きな波がたちやすいうえ、分布水深が深いことなどから浮かばないらしい。

 歌の影響で阿寒湖のマリモは「お天気藻」とも呼ばれたが、だれも浮沈現象を見たことがなく、神秘性をはらんでいた。

 若菜さんは「真実がわかりほっとした。ただ、浮かんだマリモは群生地から湖内に漂い出しており、新たな保護策を考えないといけない」と話している。

[asahi.com]

ネタ元が朝日ゆえに,珊瑚礁自作自演事件のごとく,「お土産用の手で丸めたマリモを浮かべただけ」といった状況でないことを祈ります.