お払い箱的出向

一番厄介なのが「お払い箱」的出向である.親会社が,自社採用で,かつ「使えない」,「費用ばかりかかる」と判断された人間を子会社に「押し付ける」のである*1.親会社にとって,子会社は「優秀な人材を安い値段で提供し,無駄な人材を捨てることが可能な場所」なのである.
課長,部長や事業部長といった肩書きの付いた人間は,当然給料も高い.しかしながら,そのような人間が,給料に見合った額の売上や業績を上げていなかったら... 企業側は,当然左遷の措置をとるのであるが,企業側としては,本人や部下の士気の低下に繋がる恐れがあることから,それらの人々には「左遷」であること感づかれないようにする必要がある.そのための手段として「子会社に1階級昇進して出向」という表向き「栄転」に見えるスタイルの左遷をする.この措置は,一見,最初に挙げたOJT的出向と見分けが付かないが,役員として出向者を受け入れる子会社側では,1ヶ月もしないうちに,この出向が「プラス指向」の出向なのか,「お払い箱的」出向なのかを理解する(1ヶ月程度,本人の素行を見ていれば一目瞭然).だが,親会社との関係を悪化させると,親会社から与えられる仕事が無くなる可能性もあるため,子会社は決して親会社に文句を言わない.

*1:子会社採用で親会社に出向している人間が「使えない」と判断されれば,即座に出向元に返される