「革新的な技術」

いきなりであるが,「道路の舗装技術」に関する革新的な技術が開発されたとする.このニュースは,土木業界とは無関係な一般人にまで,広く行きわたるであろうか? まず,答えは「否」であろう.たとえ新開発の技術が土木業界に革命を起こしたとしても,その業界とは無関係な一般人の「実生活」には何の変化も無いからである.せいぜい,「道路工事の期間が短くなったね」といった感覚的な認識が変化するだけで,その時間短縮を実現させた技術背景など,誰も知ろうとはしないのである.つまり,「革新的な技術」とは,あくまで「関係者」に対してのみ,「革新的」なのである.この論理は,特に「応用分野」における「技術」に対して成立する.*1.
なぜこんなことを書くのか,というと,インターネット(Web)というメディアで今現在流通しているさまざまな情報の中,ある意味「その筋」の人にしか意味を成さないIT関連キーワード(たとえばUML*2とか,グリッドコンピューティング*3 ,さらには最新のCPUといったハードウェア情報, ネットワーク機器の情報 etc..)が,があまりにも幅を利かせすぎているのでは? という素朴な疑問を提示したいのである.
「IT革命」や「e-Japan構想」という掛け声もあるように、全業種にわたり、今後、ITを利用した業務改善(改革)を推し進めない企業、国家が企業/国家間競争に敗れ去る運命にあることは皆の目に明白であるが故、IT関連技術が注目を集め、数多くのページ・サイトで紹介されることは、ある意味仕方がないのかもしれない。しかしながら、筆者の目からすれば、エンドユーザが真に欲しがっている情報とは程遠いものが大勢を占めているな、という微妙な感覚を拭い去れないのである。

*1:分野を問わず,既存概念を覆すような技術に関しては成立しない

*2:Unified Modelling Language: システム+業務改善プロセスの設計技術

*3:複数のコンピュータを並列に稼動させて,処理速度を稼ぐ手法