(番外)Wiki

とりあえず,このキーワードにも触れておくことにする.このキーワードが,blog/日記の特質を際立たせると思うからだ.
Wiki」の一番簡単な説明としては,「ホワイトボード」である.特定のWebページを,みんなで寄ってたかって編集しましょう,というシステムである.
この Wiki を利用した,もっとも有名なプロジェクトが Wikipediaである.
このプロジェクトは,「みんなでWeb百科事典を作ろう」というプロジェクトであり,ある見出しに関して,その見出しの内容を知っている人が執筆する,というスタイルをとっている.また,既に誰かが執筆済みの文章が,内容/文面的に不適切であると判断した別のユーザは,オリジナルの文章に加筆・修正することもできる.つまり,Wikiの場合は,「書き手」ではなく,「成果物」であるデータに主眼が置かれているシステムであると言える.これは,これまでの雑誌,新聞といったマスメディアにおける文章の作成スタイル(記者/ライターの原文→デスクによる加筆,修正→出版)を踏襲しているとの見方もできよう.ただし,既存のマスメディアと全く違う点は,「デスク相当の人間がゴマンといる」点である.
このように Wiki を説明してみると,「このような手法で製作されたデータ(文章)の著作権は誰に帰属することになるのだろうか」,という疑問が生じるかもしれない.だが,熟考してみればわかることだが,己が書き記した文章に手を加えられる可能性があることを理解した上で,自らの意志でこのようなプロジェクトへの参加を表明する,ということは,参加を表明した時点で「個々人」の著作権は放棄しているとみなすこともできるのではなかろうか.*1

*1:ちなみに,既存マスメディアにおいても,(原文の作者が社員である場合は)記者の著作物ではなく,企業が著作権を有する場合が多い.Wikiも同様に,"コミュニティ"が著作権を持つ,と考えることが妥当かと思われる.